h 2000年1月10日:マーシュ・マロウ ライヴレポートh


 マーシュ・マロウ。メンバーは新居昭乃、上野洋子、藤井珠緒、丸尾めぐみ、れいち、と、女性ばかり5人の芸達者ぞろい――って、これってかの「Aqua Voce」−伊藤真澄+珠緒ちゃん&昭乃さんやんけ。
 つまり、このバンドは、Aqua Voceのコンセプトをそのまま発展させている。どうして伊藤真澄さんが抜けちゃったのかは知らないけれど(多分お忙しいのでしょう。このバンド、手間か かりそうだしなぁ。しかし、アクアのリーダーって確か伊藤さんだったはずで、そうなるとマーシュ・マロウのリーダーは誰なの??)、あの存在感が無くなる のはちょっとばかし残念ではある。ま、しょーがないけどね。

 とは言うものの、この5人が揃ってクオリティが低いわけない。
 会場は渋谷ON AIR WEST。予想通りの人の多さ、つーか主催者側の予想を遥かに超えた人々がチケット争奪戦を繰り広げたらしく、当日券も無く一枚残らず売り切れ、あわてて 4月にお向かいのひと回り以上広いEASTでのライヴが企画される始末。――主催者の皆さん、混乱を避ける為にも事前のリサーチはきっちりやって下さいな (笑)。
 しかし、こんなにマイナーな人々でありながら、どっからこんなに集まってくるのだ、みんな。自分もその一人ではあるが、ちょっと恐えー。
 
 さて、そんなわけで、このライヴの曲は、アクアの時代から続けて演奏されているものをメインにした上で、何曲か新しいものが加わるという形になった。
 珠緒ちゃん製の、デザイン同じ・色違いの衣装を身に付けたメンバー達。上野さんは相変わらず髪カラーリングしてました。昭乃さんのホームページを見た時 も思ったけれど、何だか持田香織に似てきてるよーな気がするのは私だけか? 一部で、MC全然やらないから、恐いとか愛想悪いとか毀誉褒貶の激しい(笑) 最近の上野さんだが、私の長年の観察からして、決して機嫌悪くは見えないぞ。とくにこのバンドでは(Aqua時代も含めて)リラックスしてやってはるな、 と思うし、このメンバーとやる事を楽しんでるのが表情に現われてると思うんだけどなぁ。

 もはやお馴染みとなった「眠れる?」からライヴはスタート。
 雨や太陽、雪など、自然現象を、シンプルな楽器とコーラスワークで構成して表現する上野さん作曲のシリーズも、また健在。しかし、アレンジは以前に演奏 されたものとは全く違っていた。
 2曲目だった「太陽が照ってる」では、何と上野さんと昭乃さんの携帯電話で(!)音楽が始まる。上野さんがメモリダイヤルから昭乃さんの電話を呼び出す と、そっちから設定されたメロディの呼び出し音が流れる、というもの。こういう事する人たちって、ひょっとしたら本邦初かも(笑)。誰かがやってそうで案 外ないような気がする。
 このメロディ、単純なのだけどすごくかわいらしくて、素敵だった。携帯電話の音がこんなにいとおしく感じられるなんて思ってもみないことだ。街中ではあ まりに溢れすぎていて、単なる迷惑な騒音にすら思える音。でもこのステージで聴けた音は、電話というメディア本来が持っていたはずのときめきというか、だ れかと離れていてもおしゃべりできる楽しさ、みたいなものさえ思い起こさせた。おお、なんかこれは『コギャル的感受性』かも知れないぞっ。恐るべし「スー パー熟女バンド((c)メンバーによる)」!(笑) とはいえ、そこから始まって「さんさんさん……太陽が照ってる……」と、コーラスによる自然描写へと 発展していくので、これは深読みがすぎるかも知れないけど。

 新しくアレンジされたそれらの曲達も、何曲かの新曲も素敵なのだけど、やっぱり私が一番好きなのは丸尾めぐみさんによる名曲「little go little」だな。
 子供たち。花や虫たちを追いかけること。なかよしの友達。春の風。ひみつの場所。「行ってみる?」「うん!」「行ってみる?」「やだ!」……そうだ、わ たしもちいさいころに、そんなことしてた。
 ノスタルジックだけど、それだけじゃない。ひとつの唄のなかで、あの幼い日は、まっさらな新しい風景として立ち上がる。そう、いまここで、わたしは、観 客達は、そしてステージの上のあのひとたちは、一緒に同じ時を「生きる」んだ。その唄が流れてゆく時間のあいだ、そこには幻のような森があって、春風があ たたかくて、まだつかまえたことのないきれいな虫が誘っている。そこであなたは、今いくつなのか当然私は知らないけれど(でも知る必要はないんだ)5歳で も7歳でもいい、とにかく子供になって過ごすんだ。――いえ、過ごすどころじゃなくて、「生きる」の。
 こんな説明じゃ分かりにくいのかも知れない。でも、「ああ、そうそう」って思ってもらえるところが必ずあると思う。あの唄がどれだけ「子供的感覚」をリ アルに伝えてくるか。そう、これこそ、聴いてもらえればすぐに分かってもらえるはず。

 いつも思うのだが、こういうおっとりとした雰囲気のライヴ――とくにこのマーシュ・マロウ周辺では、気分がゆったりしすぎて眠くなる(実話) つーのが最大の難点だ。困る、非常に。私もときどき睡魔と戦っていたのだ。
 すいません。だって気持ちいいんだもん。

 このように、マーシュ・マロウは素敵なバンドで、素敵なライヴだったのだけれど、私は次のライヴには行かないのでした。
 一番の理由は、もちろんお金が無いからです(泣)。……なんだけれど、ホントは、ちょっと無理をしたら行けないことはないのです。今までのペースからし て、4月ならなんとかなるはず。
 でも、その無理を押してまで、「絶対行く!!」みたいな情熱を与えてくれるものだったか――と自問自答してみたとき、「そうじゃないな」と思ってしまっ た。
 もちろんすごくいいんだけど、私自身すごくこのバンドにも思い入れはあるんだけど、なんかそこまで行けない、何かが足りない気がする。それが何なのかは わかんないです。だからと言ってマーシュ・マロウが凄くないわけじゃないし、ましてや嫌いなわけでは絶対にないのです。ここまで読んできた方なら分かりま すよね? 
 ただ、今はちょっと引いてみてみたいな、と思うわけでして。だから、次のライヴレポートはなしです。楽しみにしてくれてる方もいるのですが、すみませ ん、そういうことなの。
 これで4月のライヴがもうめちゃめちゃ最高、観なかった人は一生の損!! みたいなんになったら悔しくて死んでも死にきれないけど(笑)私が占めるはず の椅子がひとつ空くはずです。今まで行けなかった人、ぜひ行ってみて下さい。
 あ、次の次はきっと行きます。以上。

(2000.1.30)


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